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初秋のイーハトーブ  ⑥賢治の世界セミナー

今年も宮沢賢治記念館の「賢治の世界セミナー」で、花巻市の小学校におじゃまさせて頂きました。このセミナーに呼んで頂いて3年目。それぞれの学校にそれぞれ思い出ができ、とてもうれしいです。
今年は石鳥谷の八幡小学校4年~6年。校長先生が全校集会でこどもたちに「銀河鉄道の夜」を紹介されたと聞き、先生方と相談の上「銀河鉄道の夜」をプログラムにしました。
そして、水沢在住の大金雅子さんのピアノのメロディーとともに、物語を楽しんで頂きました。いつも思うのですが、花巻のこどもたちはとっても真剣に聞いてくれます。その顔を見ていると、こちらも一生懸命に物語の中に入って朗読していました。こどもたちのおかげで、とても幸せな時間を過ごすことができました。

そしてセミナー終了後、佐々木力也校長先生のお話がとても心に残りました。
校長先生は、昨年度まで宮古市立田老第一中学校の校長先生でした。一昨年の地震と津波に学校で遭い、生徒と共に学校の裏山に逃げたそうです。その際、生徒達は校庭に避難していた保育園のこどもたちや高齢者の方を助けながら行動したそうです。生徒は全員無事で、その後避難所での生活の中で自らボランティア活動をするようになり、その姿は全国ニュースでも取り上げられていたと私も記憶しています。

その後学校では、生徒の心の状態に気遣いながら、震災関連の表現活動の一環として作文に取り組み、岩手大学地域防災研究センターの先生方のご協力のもと、津波体験作文集「いのち」が今年3月11日に発行されました。一人ひとりの心を思うと、文集完成まで困難なこともあったかと思います。(発行:岩手大学地域防災研究センター)
岩手大学の山崎友子教授の文章には、“震災という厳しい体験を作文にする学校をあげての表現活動が、生徒個人を成長させ、中学生が時には復興の最前線に立っていることを示しています”と書かれています。
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文集には、3学年130人の生徒が、2011年3月11日を中学生らしい素直な文章で綴っています。
人を助けながら逃げたこと、友達と分け合ったおにぎり、亡くした家族に対する思い、避難所で始めたボランティア、支援に対する感謝の気持ち、田老で漁師になるという決意…
一人ひとりの文章から、それぞれが体験し感じたことがとてもよく伝わってきました。
そして、中学生なのになんて大人なのだろうと感じました。まだまだ大人に守られるべき年齢だと思うのに、自分で考え行動し、そこから学んで前に進んで行っているのです。
また、文集に載せられた校長先生の「平成二十三年度卒業式式辞」には、震災後一年間の生徒たちの様子が述べられています。その中で紹介された“私たちは津波のことを忘れてもならないし津波のことを引きずってもいけません。現実を受け止め、一人ひとりができることを精一杯やっていきましょう。田老の先人たちの後を継ぐのは私達田老一中生です。”という生徒会長の言葉には、中学生たちの力強さを感じさせられました。
そんなこどもたちのためにも、復興が早く進んでいきますよう…
こどもたちが、未来を目指して力強く進んで行けますよう…強く願っています。

今回の旅日記、これにて終わります。
また、イーハトーブに行く日を楽しみにしながら…。
お読み頂きありがとうございました!
by kira_hoshi | 2013-09-30 23:56 | 希望郷いわて
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