人気ブログランキング | 話題のタグを見る

宮沢賢治の時間5回目

今年も、藤城清治さんの影絵絵本で「銀河鉄道の夜」を読みました。
今回、読みながら所々に新しい発見があったのは、昨年9月に花巻で藤城清治さんの展示を見たためかもしれません。ちょうどオープニングの日だったので、藤城さんのお姿も拝見し感動しました。また、「銀河鉄道の夜」を影絵で上演した際のセットの展示もありその世界に浸ることができたので、絵本をより立体的に感じられるようにもなりました。
それなのに、なんだか心の中がもやもやして、この小学校での7年間で初めて、「銀河鉄道の夜」を複雑な心境で読んでしまいました。言葉の所々にとまどいを感じ、考えながら読むような感じでした。何か、今までとは違うことを感じるのですがうまく言葉になりません。読むことに集中できず、ちょっぴり心残りとなりました。(泣)こどもたちには申し訳なかったのですが、これから心の中のこのもやもやを消化して整理していきたいです。

かわって1年生とは「あまがえるさんなぜなくの」(キム・ヘウォン/文 シム・ウンスク/絵 池上理恵 チェ・ウンジョン/共訳)「アントンせんせい」(西村敏雄)「スーホの白い馬」(作/大塚勇三 絵/赤羽末吉)を楽しみました。無邪気に喜びながら、大事なところでし~んと聞いてくれるこどもたちに、私自身、心が洗われました。こどもたちと一緒に本を楽しんでいると、純粋に本の世界を感じることができます。そして、心が豊かになります。今年も、この小学校におじゃましながら「心の豊かさ」をたくさん分けてもらいました。本当に、幸せなことだと思っています。

震災から3年…今年は街頭募金のお手伝いができず、一人で思いをはせる日となりました。
あの時、皆が大切に感じた「心の豊かさ」は、物が氾濫する中で薄れてきたように思います。
そしていつの間にか、「人を思いやる心」を忘れているような気がします。普段からの心のつながりがどんなに大切なものかわかった今、まず自分の目の前でこつこつとできることをしていかなければということを、今年もこどもたちと本を楽しみながら改めて思いました。

今日は京都市内の小学校の卒業式です。
6年生の手に、各自が書いた「宮沢賢治の時間」の感想が渡されます。
それを読んで、その時間のことを思い出してもらえるといいな。そしていつかきっと、また賢治作品に出合ってくれるといいな。そして、どんな時もどんな状況にいても、賢治作品から「心の豊かさ」を感じられるといいな…。ちょっと欲張りですが(笑)、私はそんな希望をもっています。
by kira_hoshi | 2014-03-20 08:49 | 宮沢賢治
<< 小学校にて 春が来た~! >>